ネットを開けば、ミニマリスト、丁寧な暮らし、ゆるミニマル、サウナ生活、推し活ライフ、サブスク全集中、自炊回帰、買い物ゼロ宣言。「これがいい」と紹介される暮らし方が次から次へと流れてきます。
どれもよく出来ていて、写真は綺麗で、語り口も気持ちいい。だから真似してみる。やってみると、最初の一週間は楽しいけれど、二週間目あたりから何かがずれてきて、三週間目には自然とやめている。そんな経験、ありませんか。
私自身、何度もそれを繰り返してきました。
問題は、それぞれの暮らし方が悪いわけではないことです。発信している人たちにとっては、間違いなく合っている。だから語る言葉に説得力があるし、写真も日常も綺麗に映る。けれど、見ている自分にとっては合うかどうかは別の話で、そこを切り分けないまま「いいな」だけで真似ると、合わない服を着続けるみたいに疲れてしまう。
さらに困るのは、SNS で発信力の強い人の言葉が、いつのまにか「世間の常識」に格上げされていくことです。「片付いている家がいい」「自炊している方がえらい」「持たない方が自由」。本来なら個人の好みでよかったはずのものが、なぜか標準に変わっていく。そうなると、自分が「片付いていない・自炊しない・物が多い」だけで、なんとなく罪悪感まで芽生えてくる。

